日常におけるため池の管理は、施設の漏水や変状を早期に発見し、決壊や自然災害による被災を未然に防ぐ重要な手段です。 そのため、改修履歴やため池の諸元(基本情報)を整理し、経年劣化や貯水位の変動を把握するため、日常点検を記録してください。 ただし、日常点検の作業中の事故を防ぐため、点検作業は1人では行わず、必ず2人以上で行なってください。
堤体の点検前に草刈りを行うと漏水や堤体の変状、構造物取り付け部の変状が確認しやすくなります。堤体に立木がある場合は、漏水の原因となるので伐採・伐根し、伐根箇所には堤体と同じ土質の土を突き固めて埋めてください。堤体からの漏水の確認は、かんがい時期や雪解け時期など、ため池が満水時に点検を行うと確認がしやすくなります。落水後は、貯水池側の法面が浸食されていないか、張ブロックに剥離や亀裂がないか点検をしてください。
点検中に漏水や変状が確認された場合は、写真やスケッチ等で記録後、速やかに市町村の担当部課に相談し、必要な対策を講じてください。特に漏水については決壊につながる恐れがあるので以下の状況に十分注意してください。
注意すべき状況
刈った草や伐採した木を放置したままにするとイノシシ等の有害鳥獣を誘引してしまうので、堤体から取り除く。
阻害物による洪水吐や洪水吐下流の水路の閉塞、洪水吐の堰上げによって、流下能力が低下すると豪雨時に水が溢れてしまい「越流」が発生する可能性があります。越流が発生すると越流水によって堤体下流側の法面が浸食され、堤体の決壊を招く危険があります。障害物の清掃・撤去をこまめに行い、堰上げがされていないか定期的に確認してください。
また、洪水吐が以下の状況の場合は、補修や改修等を検討してください。
補修、改修を検討すべき状況
点検の際は、斜樋の変状や取り付け部周辺が浸食されていないか、土砂や流木、ゴミ等が堆積していないか確認をしてください。取水施設が正常に機能しないと豪雨時や地震の緊急時にため池の水位を下げることができなくなってしまうので、斜樋の蓋や取水ゲート、巻上げ機に定期的な潤滑油の注油や清掃を行い、腐食や動作不良等の異常が確認された場合は、速やかに点検・修理を行ってください。
落水後は、上流部(貯水池側)の斜樋周辺が浸食されていないか確認する。
斜樋全閉時に底樋の出口から泥で濁った水が出ている場合は、底樋管が破損し底樋管周辺の堤体土が流出している可能性あります。特に、地震直後に全閉状態で濁った水が出ている場合は、底樋管が破損している可能性が高いため、直ちに市町村の担当部課に相談してください。
落水後は、底樋取り付け部周辺が浸食されていないか確認してください。底樋管内へ人が入れる場合は、作業の安全を確保しつつ目視で点検し、人が入れない又は安全上の懸念がある場合は、管内カメラ等を活用して点検を行ってください。
ため池の水位を急激に変化させると堤体を浸透する水が原因で堤体が崩れたり、法面がすべったりすることがあります。 そのため、長期間落水しているため池に貯水する場合は、一気に満水まで貯水せず、漏水等を確認しながら徐々に貯水するようにしてください。同様に長期間貯水しているため池から取水等で水位を下げる場合は、緊急放流の場合を除き、斜樋を上から順に開けて徐々に水位を下げるようにしてください。
出典:国土交通省近畿地方整備局猪名川河川事務所
「浸透による破堤のメカニズム」
また、定期的にため池の水を抜く「かいぼり」をすることで、池底に溜まった泥土を除去し、普段目視できない箇所も点検することができます。
ため池周辺では、都市化や混在化が進んでいるところも多く、転落事故などの危険性が増しています。ため池における転落事故を防ぐため、ため池に危険な箇所がないか日頃から確認し、ネットフェンス等が破損している場合は、ロープ等で人が立ち入らないようにし、速やかに補修を行ってください。
引用:農林水産省「ため池の安全管理は大丈夫?」
破損や劣化した施設は
速やかに補修を行ってください
新たに危険と判断された箇所には、追加で進入防止柵や注意看板等を設置するなどしてください。 また、ため池管理者は行政が開催する研修会・講習会等に参加していただき、事故事例を学びながら安全に対する意識を向上させるとともに行政と協力し地域住民に向けた事故防止の啓発活動を実施することも重要となります。
万が一の時のための安全施設(脱出補助施設)例
その他の安全施設(脱出補助施設)設置例
関連サイト(農林水産省)
関連サイト(宮城県)
受付日時
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13:00 ~ 16:00
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