法律の概要

本法の目的

農業用ため池の情報を適切に把握し、決壊による災害を防止することを目的として、令和元年7月1日に「農業用ため池の管理及び保全に関する法律(以下「ため池管理保全法」という。)が施行されました。
ため池管理保全法では、農業用ため池の所有者は、ため池の所在地や諸元等の内容を都道府県に届け出ることが義務づけられたほか、所有者等に対する適正管理の努力義務等についても規定されています。

ため池管理保全法で定義される
「農業用ため池」

  • 現在農業用に利用されている施設
  • 現在農業用に利用されていないが、過去に農業用に利用され、今でも農業用に利用可能な状態にある施設

「特定農業用ため池」の指定

都道府県知事は、決壊した場合に周辺地域に被害を及ぼす恐れがある農業用ため池を「特定農業用ため池」として指定することができることとされています。

宮城県内の「特定農業用ため池」の数:74箇所(令和3年度末時点)

「特定農業用ため池」に
指定されたため池では、

  • 市町村はハザードマップ等を作成し、地域住民への周知に努めます。
  • ため池の保全に影響を及ぼす恐れのある行為は、県の許可が必要になります。
  • 当該ため池で防災工事等を実施する場合は、防災工事計画の届出が必要になります。
  • 所有者不明などで適正管理がされていないため池について、市町村による施設管理が可能になります。

国又は地方公共団体が所有する「農業用ため池」は、ため池管理保全法の対象となりません。

なお、ため池管理保全法及び農林水産省令では、次のとおり定義されています。

ため池管理保全法による定義
(要約)

この法律において「農業用ため池」とは、農業用水の供給の用に供される貯水施設であって、農林水産省令で定める要件に適合するものをいう。

ため池管理保全法 第一章 総則第二条より

農林水産省令による要件(要約)

法第二条第一項の農林水産省令で定める要件は、次のとおりとする。

  • 堤体及び取水設備により構成される施設であること。
  • 基礎地盤から堤頂までの高さが15m以上の施設にあっては、次の各号のいずれにも該当しないものであること。
    • 河川法に規定するダム
    • 貯水施設の構造に関する近代的な技術基準に基づき設置された施設であって、その所有者又は管理者が当該施設の管理に関し土地改良法若しくは管理規程又は独立行政法人水資源機構法の施設管理規程を定めているもの

農業用ため池の管理及び保全に関する
法律施行規則 第二条より

ため池管理保全法及び農林水産省令の全文については、デジタル庁が運営している「e-Govポータル」から閲覧可能です。

農業用ため池の届出について

農業用ため池の所有者は、ため池の設置や廃止、届出情報に変更があった場合、都道府県に届出を行う必要があります。既存の農業用ため池の届出については、所有者又は管理者の届出としています。
届出事項については次のとおりです。

  • 農業用ため池の名称、所在地
  • 農業用ため池の所有者の氏名又は名称、住所、法人の場合はその代表者の氏名
  • 農業用ため池の管理者の氏名又は名称、住所、法人の場合はその代表者※1の氏名
  • 管理の権原の種類※2、内容
  • 堤高、堤頂長、総貯水量
  • 法人でない団体の場合は、その代表者又は管理者
  • 権原の種類…委任、賃借、共同(入会)、その他(事務管理など)
    管理の内容…利水管理、草刈、軽微な修繕など

届出書には次の資料を添付する必要があります。

ため池管理保全法に基づく届出書添付資料

所有者又は管理者が法人である場合 法人の定款又は寄附行為の写し
管理者が法人でない団体である場合 団体の規約等
その他参考となるべき書類 土地の登記事項証明書、位置図など

宮城県の対応状況について

ため池管理保全法に基づいた宮城県の対応状況は、次のとおりです。

ため池管理保全法に基づく届出状況(宮城県)

ため池数 届出対象数 届出数
農業用ため池 5,159 1,255 1,255
防災重点ため池 519 75 75

また、宮城県公式サイトでは県内の農業用ため池を取りまとめた「みやぎの農業用ため池データベース」や県内の防災重点ため池を含む農業用ため池の位置や基本的な諸元を記載した地図「みやぎのため池マップ」を公開しています。

特定農業用ため池

都道府県知事は、決壊した場合に周辺地域に被害を及ぼす恐れがある農業用ため池を「特定農業用ため池」として指定することができることとされています。特定農業用ため池の指定基準は、防災重点ため池の選定要件と同一ですが、国又は地方公共団体が所有する農業用ため池は、特定農業用ため池の指定が必要な施設に該当しません。

特定農業用ため池の指定基準

  • ため池から100m未満の浸水区域内に家屋、公共施設等がある
  • ため池から100~500mの浸水区域内に家屋、公共施設等があり、かつ貯水量が1,000㎥以上である
  • ため池から500m以上の浸水区域内に家屋、公共施設等があり、かつ貯水量が5,000㎥以上である
  • 地形条件、家屋等との位置関係、維持管理の状況等から都道府県及び市町村が必要と認めるもの

農林水産省「農業用ため池の管理及び
保全に関する法律の概要」より引用

特定農業用ため池に指定された場合

堤体の掘削や竹木の植栽等の行為制限

特定農業用ため池において、堤体の掘削や竹木の植栽、取水設備・洪水吐きの変更等、ため池の保全に影響を及ぼす恐れのある行為は、都道府県知事の許可が必要となります。

許可が必要な行為(ため池管理保全法第8条第1項及び同法省庁令より)
  • 堤体の掘削、切土、盛土、竹木の植栽
  • 水底の掘削
  • 岸の形状の変更
  • 取水設備又は洪水吐きの変更又は廃止
  • その他政令で定めるもの
許可が必要な行為に該当しないもの(ため池法施行規則第8条より)
  • 土地改良法に基づく土地改良事業
  • 防災工事として行う場合
  • 非常災害のため必要な応急措置
  • 修繕や堆積土砂のしゅんせつ等の管理に係る行為
  • 安全性の調査に係る行為(ボーリング等)
  • 河川法に基づく河川工事等(施行規則に定めのあるもの)

許可申請が必要な場合は、各地方振興事務所農業農村整備部、又は宮城県農政部農村整備課換地・用地班までお問い合わせください。

許可申請についてのお問い合わせ

ハザードマップの作成と周知

市町村は、特定農業用ため池の決壊等に関する情報伝達方法、避難場所及び避難経路等に関する事項についてハザードマップ等を作成し、印刷物での配布やインターネット上での公開、その他の必要な措置を講ずることにより、住民に周知するよう努める必要があります。
宮城県内の市町村で公開されているため池に関するハザードマップは次のとおりです。

ため池ハザードマップを公開している市町村一覧

  • 令和3年12月現在
  • 市町村名をクリックすると市町村公式サイトの当該ページに移動します。
防災工事計画の届出

特定農業用ため池の所有者等は、ため池の耐震対策や廃止等の防災工事を施行する場合、工事に着手する30日前までに都道府県へ防災工事計画の届出が必要となります。特定農業用ため池に指定される前に工事を施行している場合は、指定日から30日以内に防災工事計画の届出が必要となります。
なお、都道府県は、特定農業用ため池に必要な防災工事が施行されない場合、勧告、命令、代執行を行うこととなります。

防災工事計画の内容
  • 防災工事の種類(耐震対策、豪雨対策、老朽化対策、廃止)
  • 防災工事の内容、施工方法(図面等の必要な書類を添付)
  • 着手予定年月日、完了予定年月日

法令・関係通知

農林水産省の公式サイトで以下の法令・関係通知に関する文書等が閲覧可能です。

ため池管理者の方の相談窓口

022-263-5814

受付日時 
火・木曜日 9:00 ~ 12:00 /
13:00 ~ 16:00

場所:〒980-0011 宮城県仙台市青葉区上杉2丁目2番8号
※祝日、休日、年末年始(12 月29 日~翌年1月3日は除く)
※来所の場合、要予約になります。